2017年M-1グランプリの上沼恵美子さんの批評に震えた話。ブログが進むべき道はどこなのか?一つの答えをくれた。
「好みじゃない」の破壊力
「面白い」の定義が難しい理由は、答えが一つに絞れないからだ。
逆に言うと答えがいくつもあるから、面白いのだけども。
「かわいい」なんかもそうだ。
テレビを見ていて、CMの女の子に「この子かわいい!」「かわいいか?」な論争になる。
じゃあ面白いと感じる理由は何か?
最後、審査員がみんな言っていたように、
結局は”好み”だ。
「ヨーイドンで一斉に走って一番速い人が勝ち」というような客観的基準がない以上、
最終的には”好み”になる。
好みかよ!と思うけど、
「好みじゃないんです」と言われてしまったら、
「そうですか」と引き下がるしかない。
だって好みじゃないんだもん。
審査員全員が80点台で、最下位だったマヂカルラブリー。
中でも一番低い83点をつけた上沼恵美子さんは、
「一生懸命がんばってるんはわかるけど、好みじゃない。ごめんね。よう決勝に残ったなと思って」
刺さった。
そうかー、好みじゃなかったかー
そりゃもうしゃあないなー・・・
てな具合に、
ダメな理由として、めちゃくちゃシンプルでわかりやすい答えだ。
これが漫画だと、
「アンケート結果どうでしたか?」と聞いても、
編集者は「良くなかったね」とだけで、
具体的な数字は教えてくれない。
ダメな理由がめちゃくちゃぼんやりしている。
就活の面接でなぜ落ちたのかわからないのと同じだ。
編集長自ら、「お前の漫画は好みじゃないんだよ!」とビンタでもしてくれようもんなら、それはそれで納得できる。
そうか、好みじゃないんだなと。
今回の上沼恵美子さんの批評はまさにそれだった。
「好みじゃない」だってオイシイ
M-1の一番の意義は、全国放送で顔を売れることだ。
もちろん優勝できるに越したことはないけれど、
ぶっちゃけ「コイツ何!?」とお客さんに印象づけることができれば、優勝できなくても売れる。
南海キャンディーズ、オードリー、メイプル超合金。
彼らが出てきた時のインパクトは圧倒的だった。
わずか4分で、「何これ!?変なやつらが出てきたぞ・・・!」とお客さんに強烈に印象付けた。
最悪なのが埋もれることで、
その他大勢になってしまったら意味がない。
だから最下位だろうと、上沼恵美子さんにボロクソ言われて悪目立ちできた状況はめちゃくちゃ”オイシイ”のだ。
逆に「え、そこまでボロクソ言われるネタってどんなネタ?」と見てない人は気になるかもしれない。
「好み」の人を探せ
7人の審査員の好みじゃなくても、
好みだった人はどこかにいるはずだ。
この世にゼロなんてことはあり得ない。
大事なのは「好みです」と言ってくれる人を探すこと。
「好みの人、私を見つけてね」はナメてるぞ。
どんだけあぐらかいてんねん。
かくいう私もあぐらをかいていた。
「好きです」と言ってくれる人を見つけるために、
回ったのはせいぜい数十社。
数十人にフラれたぐらいで嘆くって、アホか。
既存のプラットフォームで勝負しようとしたことがそもそも間違い。
何もパツンパツンの土地に無理矢理割って入っていく必要はなかったのだ。
インターネット上には無限の土地がゴロゴロ転がっている。
毎週毎月あれだけの新連載の弾が放たれて、
ボコボコ撃ち落とされていく理由は至ってシンプル。
結局編集者にも何が面白いかなんてわからないのだ。
しかし今や雑誌よりはるかに多くの、
「好みです」と言ってくれる人を探せる究極のツールがある。
ブログだ。
ブログなら「好みじゃないんです」というお客さんは自動的に淘汰できる。
さらにSNSを使えば、
こちらからお客さん一人一人に「見てください!どうですか!?」とピンポイントでぶっ刺しに行くこともできる。
「好みじゃないんです」
「そうですか」
なんて引き下がってる場合じゃない。